1. 安全性薬理試験1)1)Oi, A. et al.: Cardiovasc Drugs Ther. 2011 ; 25(Suppl. 1) : S91-S99.トルバプタンの安全性薬理試験として、一般症状及び行動、中枢神経系、体性神経系、自律神経系及び平滑筋、呼吸器系及び心血管系、消化器系に及ぼす影響を検討しました。ICRマウスに最高1,000 mg/kgを経口投与して検討しました。100 mg/kg以上で尿量の増加が認められましたが、それ以外に特記すべき変化は認められませんでした。ICRマウスに最高1,000 mg/kgを経口投与して検討しました。自発運動量、ヘキソバルビタール麻酔時間、体温及び協調運動に影響はみられず、麻酔作用、痙攣誘発作用、鎮痛作用も示さず、最小電撃、ストリキニーネ及びペンテトラゾール誘発痙攣の増強作用も示しませんでした。ICRマウスに最高1,000 mg/kgを経口投与しましたが、筋弛緩作用は示しませんでした。Hartleyモルモットの摘出回腸を用い、最高30 μmol/Lまで処理して検討しました。3 μmol/Lでは作用を示しませんでしたが、10 μmol/L以上で自動運動の亢進及び静止張力の一過性の上昇が認められました。アセチルコリン及びヒスタミンによる収縮では、10 μmol/L以上で抑制し、塩化バリウムによる収縮に対しては30 μmol/Lで抑制しました。麻酔ビーグル犬に最高10 mg/kgを静脈内投与して検討しましたが、3 mg/kg以上でT波の振幅が減少し、10 mg/kgで呼吸数及び心拍数が増加するとともに血圧が下降し、大腿動脈血流量が減少しました。更に、無麻酔イヌに最高1,000 mg/kg経口投与したところ、100 mg/kg以上でPR間隔の短縮、1,000 mg/kgでT波の振幅の減少を示しましたが、その他の心血管系の測定項目には影響せず、呼吸器系への影響もみられませんでした。この実験は絶水下で行われたため、PR間隔及びT波の変化は、顕著な尿量増加に伴う血漿中ナトリウム及びクロール濃度の上昇がみられたことに起因する二次的な影響と考えられました。なお、自由摂水でビーグル犬に最高1,000 mg/kg/日のトルバプタンを投与した反復経口投与毒性試験においては、血漿中の電解質濃度は変化せず、心電図にも影響は認められませんでした。また、トルバプタンは、Hartleyモルモット摘出右心室乳頭筋の活動電位に対して、30 μmol/L(13.5 μg/mL)まで作用を示さず、ヒトether-a-go-go関連遺伝子(hERG)チャネル電流に対しては、溶解限界である2 μmol/L(0.9 μg/mL)の濃度まで影響を及ぼしませんでした。(1)一般症状及び行動に対する作用(2)中枢神経系に対する作用(3)体性神経に対する作用(4)自律神経系及び平滑筋に対する作用(5)呼吸及び心血管系に対する作用90安全性薬理試験及び毒性試験安全性薬理試験及び毒性試験
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