その結果、被験物質に関連する死亡は認められなかった。ボクロスポリン投与群に認められた主な所見は下記の通りであった。また下記において、2.5、10及び25mg/kg/日をそれぞれ低、中及び高用量と表記した。一般状態として、高用量群で軟便及び摂餌量の増加、雄の高用量群で粗毛及び削痩、雄の中及び高用量群で体重減少が認められた。回復期間中に、体重及び摂餌量への影響は継続して認められ、ボクロスポリンの高用量群の雌でのみ摂餌量への影響が回復した。眼科学的検査では、雄の高用量群で角膜混濁、高用量群及び雄の中用量群で外水晶体線維変性又は水晶体変性が認められた。血液学的所見は、過去にmix-ISA247を用いて実施した試験において認められた所見と同様であった。すべての血液学的所見は、回復期間中に回復したが、例外として雄の高用量群でリンパ球数の減少が継続して認められた。血液生化学的検査では、溶媒対照群と比較して、すべての被験物質投与群の主に中及び高用量群で変化が認められたが、低用量群でも認められることもあった。認められた変化は、雌雄におけるBUN及び総ビリルビンの増加、マグネシウムの減少、クレアチンキナーゼ、AST、ALT、ALP、グルタミン酸脱水素酵素及びγ-グルタミルトランスフェラーゼの増加、雌におけるナトリウム、カルシウム、カリウム、リン、クロール及びトリグリセリドの増加、並びに雄におけるアミラーゼの増加であった。概して、雄は雌よりも影響が大きく、ほとんどの変化は回復期間中に回復した。尿検査では、高用量群で赤血球及びグルコースの増加、pHの低下、浸透圧及びカリウム濃度の変化、全ての投与群で尿量増加及びクレアチニンの低下が認められた。回復期間中、pHの低下、尿量増加及びグルコースの増加は回復を示さなかったが、他の大半の変化は回復した。剖検所見として、雄の高用量群で胸腺小型、十二指腸の肥厚、盲腸の拡張及び腎盂拡張が認められた。臓器重量の変化として、雄の高用量群で胸腺及び前立腺重量の減少、雌の中及び高用量群で下垂体重量の減少が認められた。また全ての投与群で、胸腺髄質の萎縮及び下顎リンパ節の胚中心萎縮、低及び高用量群で胸腺皮質の萎縮が認められた。さらに雌の中及び高用量群で、腎臓の皮質尿細管変性/再生、雄の高用量群で皮髄の鉱質沈着が認められた。被験物質に関連する神経系病変(炎症、しばしば細胞変性及びグリオーシスを伴う)は、雄で認められたが、雌では認められなかった。本試験においてNOAELは、2.5mg/kg/日と判断された。47)社内資料:単回投与毒性試験48)社内資料:反復投与毒性試験52 (2)反復投与毒性試験(ラット)2. 毒性試験 (1)単回投与毒性試験(ラット及びイヌ)●ラットにおける単回静脈内投与毒性試験SDラット(雌雄各6/群)にボクロスポリンを0(溶媒)、1又は2.5mg/kgの用量で単回静脈内投与したところ、ボクロスポリン投与に関連する死亡は認められず、ボクロスポリンの1mg/kg投与群の雄1例及び2.5mg/kg投与群の雄1例でDay1 にわずかな活動性低下が認められた以外は、いずれの検査項目にも影響は認められなかった。したがって、本試験におけるNOAELは2.5mg/kgと判断された。●イヌにおける最大耐量決定試験ビーグル犬(雌雄各1)にmix-ISA247を0(溶媒)、8、10、20、30、50及び75mg/kgの用量で単回経口投与(8、10及び20mg/kgは強制経口投与、20、30、50及び75mg/kgは腸溶性カプセルの経口投与)したところ、8及び10mg/kgの投与後に嘔吐及び/又は逆流が認められたが、20mg/kg投与時には認められなかった。30、50及び75mg/kgを投与時にケージトレー内に吐出されたカプセルの破片及び/又は物質が認められた。その他、いずれの検査項目においても毒性学的に意義のある影響は認められなかった。●ラットを用いた13週間反復経口投与によるブリッジング毒性試験SDラットにトランス型ISA247(ボクロスポリン)を0(溶媒)、2.5、10及び25mg/kg/日の用量で強制経口投与した。投与群は、主試験群として雌雄各10/群、投与4週に中間屠殺する群として雌雄各5/群、回復群(4週間の回復期間)として雌雄各5/群及びTK群として雌雄各6/群(溶媒投与群を除く)とした。安全性薬理試験及び毒性試験
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